ライブレポート

4月2日(月)東大和 「カフェバー・空」

4月2日(月)東大和 「カフェバー・空」
佐藤美由紀(Pf)、早川純(Bandoneon)、スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)、柴田奈穂(Vn)

【Vn柴田奈穂さんによるレポート】
 2日目の東大和カフェバー空は、雰囲気の良いアットホームな空間で、丁寧にサウンドチェック。この日は、心臓移植を余儀無くされ渡米手術費用をつのっている、 東大和市在住の大学生・橋本万里くんのためのチャリティーライブ。 万里くんのお母様もいらしてくださった。 無事の手術の成功を祈ります。DJの木村園さんも応援に駆けつけてくださり、ライブとしてはフリーな部分が増えて、がぜんライブ感が増してきた感じが嬉しかった。ホテルに帰る電車の中で、ミユキさんのこのバンドに対する熱い思いを聞いて胸がじーんと熱くなった忘れられない夜。


4月1日(日)成田 「エクセルホテル東急」El Fuelleディナーコンサート

4月1日(日)成田 「エクセルホテル東急」El Fuelleディナーコンサート
佐藤美由紀(Pf)、早川純(Bandoneon)、スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)、柴田奈穂(Vn)

【初共演!Vn柴田奈穂さんによるレポート】
 とても、よい出会いとよい経験に恵まれた東京ツアーとなりました。初日朝、京都から新幹線に乗り込み、なめらかに滑り出した車内からの景色は快晴で、 まどろみを楽しんだりしているうちに、あれよあれよという間に東京に到着してしまった。ピアノの佐藤美由紀さんと落ちあうために電車を乗り継ぐ。2006年10月に自分のCD発売記念ライブをした時、渋谷の会場に聴きに来てくださったのがきっかけで彼女と縁が出来たわけなのだが、 その後は一度も顔を合わすことなく、メールでのやりとり、電話でのやりとりで今日を迎えた。
お会いした時は、まだ一度も一緒に音を出したわけではないのに、「やっとお会いできました」という不思議な気持ちになった。CD発売記念ライブというのは、ミュージシャンにとってちょっと特別なものだと思う。音源はあくまでも過程を記すものだけど(CDを制作した直後からまた成長しつづけるから)、やはり記すという行為には結構エネルギーが必要で、 それをたくさんの人に聴いていただくための今回のツアー。昨年秋の経験から、このバンドがこのツアーにかける意気込みが私にもとてもよく分かる。いかに大切かも。その場所に交じって一緒に演奏させていただけるというのはこの上なく光栄なことだ。そして、私もその意気込みを少しでもたくさんの方に音で届けねばならない、という心地よいプレッシャーを胸にいだいて、 ミユキさんと一緒にリハに向かう。
ちなみに、バンマスのピアノ佐藤美由紀さんからおよそ一ヶ月前に送られてきた譜面と用意した曲は、ざっと40曲ほど。上京前は毎日が「・・・むきゃー、練習じゃ~!」という状態であった。というのも、ツアー中曲目が毎日日替わりメニューだったから。これらの曲をざざざっと通してゆく。いささか固くなっている私をまるでときほぐしていただくかのように、リハが進む。ピアノの佐藤さんのタッチが強烈で、普段は細身でニコニコのたたずまいからはとても想像できない、すごいインパクトの音。 演奏中にピアノの弦を叩ききったことも1度や2度ではないといえば、その強烈さをお分かりいただけると思う。打ち出されるリズムの数々は、タンゴのビートに溢れている。柔らかい物腰と冗談(オヤジギャグも飛び出す(笑))とで時折メンバーを気遣いつつ、テキパキと物事をすすめる姿はさすがリーダー!ギターのスズキイチロウさんは、自分の音楽道をまっすぐ貫いてきたその信念みたいなものを、洗練された音に滲ませつつ艶のある音とリズムを出していた。 呑み会では、彼の音楽談義(通称「イチロウ劇場」(笑))に耳をすますメンバーたちの姿もあり、頼れるアニキ的存在。バンドネオンの早川純さんは、まだ26歳だそうで、若いのに上手い!タンゴらしい歌いまわしも素晴らしく、その鮮やかな演奏に聴き入ってしまったことも何度もあるほど。お人柄も名前のとおり、「純」。ずばり好青年。彼は小松亮太さんのバンドの他、日本を代表するタンゴバンドに参加されているが、この若さでこれからもますます大きくなられると思う。そういう意味でもとてもまぶしかった。ベースの清水良憲さんも、人柄がそのまま音に出ているなあと思った。適度な距離感を心得て人に安心感をあたえ、自然にそこになくてはならない存在感はまさしくベーシスト。そして、イチロウさんと清水さんはジャズ出身だ。そんなことも影響してだと思うが、フリーな部分を多く導入しているこのバンドのスタイルは、タンゴバンドにしては珍しいやり方で、 既成のアレンジなど枠にとらわれずに新しいやり方を常に模索している。というわけで、機会があれば未体験の方はいっぺん聴いてみてください!覚悟してとにかくぶつかっていくことを決意してリハにのぞんだ結果、 リハ終了後、楽しく呑み会へなだれ込んだ。あたたかい歓迎を受けて、ほっこりしました。ありがとうでした。
初日成田の昼夜公演で、とてもいい手ごたえでやらせていただき、新曲もさらに2曲追加。夜はホテルでのディナーショー形式での演奏だったのだが、「オブリビオン」や「ラ・クンパルシータ」で出てきたメンバーのソロがとっても光っていた。企画者堀口さんお世話になり、ありがとうございました!ご好意で食べた楽屋でのお弁当のおいしかったこと!(昼ボリュームたっぷりとんかつ、夜超豪華寿司弁当)

 


3月31日(土) 谷中「ボッサ」

3月31日(土) 谷中「ボッサ」 ピアソラの再生~音と桜による心の調律~
柴田奈穂(Vn )、佐藤美由紀(Pf)

主催:再生の春
協賛:Beat Sound(株式会社ステレオサウンド)

【初共演の柴田奈穂さんによるレポート】


 谷中ボッサでは、満開の桜の時期にあわせて“タンゴ・ライヴ”を実施します。ブラジルの隣、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで約130年前に生まれた音、タンゴ。その長い歴史の中でも中でも、タンゴの革命児と言われたアストル・ピアソラの創造した音の数々は1992年の他界後も、 少しも色褪せる事無く、今だ世界中の人の心を捉えて離しません。今回お届けする音の演奏者はタンゴ、そしてピアソラの音を継ぐ二人、柴田奈穂さん(Vn)と佐藤美由紀(Pf)さん。憂愁の春に、新しい形でピアソラ、そしてタンゴの魂を再生します。
by 主催:再生の春


・・・というキャッチフレーズで東京谷中で行われたこのライブ、 昨年リリースしたCD「ブエノスアイレスの冬」を関西に住む奥井さんが聞いてくださったことがそもそもの始まりでした。奥井さんは、何年か前に大阪でライブをした時に聞きに来てくださって出会った、かわいらしいけれども、知的な部分とタフな部分を併せ持つ魅力的な方。ある日、そんな奥井さんからメールが届きました。私のCDに収録されている「タンゴと桜」という、私も大好きなこの曲を、奥井さんがとても気に入ってくれて、東京在住でタンゴの話題で仲の良い知人石山さんに紹介してくれたこと。石山さんもその音源をとても気に入ってくれて、なじみのお店「谷中ボッサ」に持っていってくれたところ、お店のマスターも気に入ってくれたこと。石山さんが、ライブのプロデュースなどはやったことがないけれど、桜の満開の時期に演奏しに来てほしいと希望してくれていること。その会場はほかでもない、「谷中ボッサ」をイメージしていること。実現すれば、もちろん奥井さんも関西から聴きにいく意志があるということ。そこにはこんなことが丁寧にしたためられていました。すぐにやらせていただく方向で考えると返事しました。
奥井さんからいただいたそのメッセージには、「多少のリスクなどどうでもよく、この出会いを大切にしたい」そんな風に感じさせる夢がありました。 私にとってちょこっと大変な時期でもあったので、そんな風に大切に自分の音を聞いてくれた方がいることは大きな励みになりましたし、 心の底から聞きたいと言ってくれているその純粋さに本当に気持ちがあらわれるようでした。そして、Beat Sound(株式会社ステレオサウンド)武田さんの多大なるご協力のもと、このライブが実現しました。東京の人気タンゴバンド El Fuelle 「エルフエジェ」の佐藤美由紀さんに共演していただけませんか、とお願いしたところ、快く引き受けてくださったのです。このライブが美由紀さんとの初めての共演でしたが、これがきっかけとなり、エルフエジェの東京ツアーにも参加させていただくことになったようなもので、 私にとっては本当に本当に出会いの宝物のようなライブでした。選曲も、私の持ち曲とEl Fuelle のレパートリーから出し合う形で決めていきました。奥井さんも石山さんも、大切に大切に企画を暖めてくださって、いよいよ当日。予想通り、東京は、満開の桜が咲き誇る春の日でした。それはまさに、奥井さんいわくの「狙いどおりの完璧なシチュエーション」だったのです。
谷中ボッサは30人も入ればいっぱいのアットホームな空間で、木の雰囲気がとても心地よい素敵な店でした。石山さんがなぜこの店を選んだのか、分かるような気がしました。奥井さんも関西から駆けつけてくれました。武田さんがPAをセッティングしてくださってリハをざっとやると、間もなく開演時間。春の風がやさしく香る中、桜のトンネルを抜けてきたお客さんたちが続々と集まってくれました。夜もすっかり更けてきて、いい雰囲気。所狭しと並べられた椅子に、これまたところ狭しと座ってくださったお客さん達。石山さんと奥井さんは交代で客席に出てきて演奏に耳をすましていました。終盤にさしかかり、このライブをやるきっかけになった「タンゴと桜」を演奏すると告げると、いろいろな思いがめぐりました。この曲はCDのプロデュースもしてくれたバルコスさんが私にプレゼントしてくれた曲です。共演の美由紀さんは夜桜のイメージと言っていました。わたしも、この曲を演奏する時は静かな情景から始まり、そのうちに膨大な桜の花びらが激しく空に舞い散る様子をいつも思い浮かべています。タンゴに魅せられて音楽の道に進みバルコスさんと出会い、そのピアノに惚れてアルゼンチンに行って、この曲をもらってレコーディングしたこと、 それを聞いてくれた奥井さん。それから広がって石山さんや武田さんと新しい出会いが生まれたこと、そして今回初共演となった佐藤美由紀さんという素晴らしいピアニストに出会えたこと、 この店で、今ここで演奏できる喜びや、そこにお客さんが聴きにきてくれたこと。すべてすべてつながっている。演奏直後は、ガラにもなく目頭が熱くなって、少し泣きたくなりました。この一つの曲が、この出会いを生んだのだと思うと、震えがきました。
後日、雑誌「Beat Sound」にこのライブの模様がCDと一緒に見開き2ページにわたって紹介されました。雑誌の中にも、「CDに記録された一曲が人の生き方や周囲の人間の心まで突き動かす原動力になることがある・・・」とありますが本当にそのとおりだなって思います。私はこの日、その空間と企画してくれた皆さんと、お客さん、共演してくださった美由紀さんのことが大好きになりました。来て下さった方々、関係者のみなさん、どうもありがとうございます!!石山さん、奥井さん、武田さん、お疲れ様でした。感謝!!

【ミユキレポート】
 このライブでの共演がキッカケとなり、柴田さんが関西ツアーへの礎を築いてくださいました。ミユキタンゴがツアーバンドとして歩みだす、初めの一歩となりました。


3月26日(月)錦糸町「Early Bird」

3月26日(月)錦糸町「Early Bird」
佐藤美由紀(Pf)、早川純(Bandoneon)、スズキイチロウ(Gt)

【ご来場くださった方のレポート】
 錦糸町の「アーリーバード」にエル・フエジェ(El Fuelle)のライブを第1部の途中から鑑賞した。今回は佐藤美由紀(ピアノ)、スズキイチロウ(ギター)、早川純(バンドネオン)による三重奏。この組み合わせて聴くのは東大和・東向島に続いて3度目になるが、毎回違う演奏を聴けるので、飽きるということがない。
今回の「パロミータ・ブランカ」のアドリブは、ピアノとギターが軽快に絡む趣向だった。前回の国分寺クラスタではピアノが1人で2分くらい粘着的に引っ張っていたので、余計爽やかに聞こえたのかもしれない。 来月にかなりハードなCD発売記念ツアーを敢行するためか、今回は調整的な性格が強かった気がする。それでも第2部最後の「フーガと神秘」、アンコールの「首の差で」などは気合十分で、マスターも感銘を受けたようだ。 ツアーのご成功を祈念する。(Tさん)


3月10日(土)筑波 「ラ・カラフェ」

3月10日(土)筑波 「ラ・カラフェ」
佐藤美由紀(Pf)、江藤有希(Vn)、早川純(Bandoneon)、スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)

【ご来場くださった方のレポート】
私はタンゴにはそんなに詳しくはありません(笑)いわゆる音源という意味ではそうです。ただブエノスアイレスに滞在していた1ヶ月ちょっとの間毎日のようにタンゴバーに通って生のタンゴバンドの演奏を聴いていたというのが、私とタンゴの唯一の接点です。とにかくその熱さと親しみやすさにはまってしまったんですね。日本に戻ってから、少しばかりその余韻でタンゴを聴いてみましたが、何かが違う。。。なんか。。。そう思ってマニアックな聴き方をする ほどにはなりませ んでした(笑)
でも、ここでmiyukiさんたちと出会いなんでもありのタンゴを見た時、ブエノスの熱いタンゴの記憶がよみがえりました。ご本人方には失礼かもしれませんがw 典型的なタンゴとはちょっと違うw そこが大好きです。ブエノスでのタンゴは生きていました。大荒れの波のように畳みかけてきます。これでもか、これでもかと何度も畳みかけてきます。miyukiさんたちのタンゴも同じ匂いがします。聴く側も体力がいります(笑)気持ちをしっかり持たないと倒れそうになります。へとへとになります。
どれくらい熱い演奏か?1stステージが終わった後、miyukiさんが弾いていたピアノの黒鍵がとれていました(笑)それも2個もwww あ~~楽しかった♪(Sさん)

【ミユキレポート】
 10日のつくばライブ、ご来場くださいましたたくさんの皆さま、 本当にありがとうございました。 お陰さまで立ち見満員。何とも熱い夜になりました。 熱くなり過ぎて、私は黒鍵を2つも取ってしまいました・・・ しかも1st ステージで。 ごめんね、ピアノさん・・・ごめんなさい、カラフェママさん・・・休憩時間にバイオリンの有希さんが近くのコンビニに走って アロンαを購入して来てくれました。 ありがとう♪・・・これからはこれを持ち歩きます。
この日は、「ミユキタンゴ初体験」な方が多数おいで下さり、身を乗り出して聴いてくださって、とても嬉しかったです。 休憩中や終演後客席を廻ったら、あれやこれやと質問の嵐・・・ 興味を持ってくださったようで、 ジーンと嬉しい気持ちになりました。

 





2月22日(木)本八幡「沙羅」

2月22日(木)本八幡「沙羅」
佐藤美由紀(Pf)、江藤有希(Vn)、早川純(Bandoneon)、スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)

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【ご来場くださった方のレポート】
 2/22 は私の大切な友達(ピアニスト)が立ち上げた、タンゴバンドEl Fuelle(エルフエジェ)のファーストCD発売記念ライブが地元の本八幡でありました。 しかも幼稚園・小学校に通う子どもの母達のために午前11時から! 20人しか入れない小さなお店だったので、往年のタンゴファンのおじ様と私達ミセス軍団がひしめき合ってソファに座る状態でした。 演奏する側も、グランドピアノ&極小スペースのジャズのお店に、コントラバス・バンドネオン・ギター・バイオリンの5人のメンバーが密集・・・ギターのインテリムッツリイチローさんと、バンドネオンのイイオトコ早川さんの肩が当たってる!? コントラバスが天井スピーカーに激突!スピーカーがあっち向いちゃった! でもさすが演奏は、ものすごい迫力でした。
私はオーチャードホールの前から2番目の席でも寝てしまう位、芸術性の無い人間ですが、タンゴの演奏を初めて聴いた時は体中の血が踊りだしました。 ピアノの弾き方だってものすごいんです。 一度、鍵盤を飛ばしちゃったくらいですから・・ おかげでストレスが吹っ飛びました! アルゼンチンタンゴ、機会があったら是非聴いて下さいませ! 全部良い曲です♪ 絶賛発売中♪ (Cさん)

 


2月2日(金)1st CD「MIYUKI TANGO」先行発売LIVE

2月2日(金)江古田 「BUDDY」 El Fuelle 1st CD「MIYUKI TANGO」先行発売LIVE
佐藤美由紀(Pf)、江藤有希(Vn)、早川純(Bandoneon)、スズキイチロウ(Gt)、清水良憲(Cb)

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【イチロウさんレポート】
ああ思い起こせば昨年の10月、何故かこの月ライブが少なかったこのバンド、「ヒマなら録音でもすりゃいいじゃん」という鶴の一言(鶴=私)を、リーダーのミユキさんが安々と実行に移し(ここが彼女のすごいところ)、あれよあれよの一泊二日での一発録音。それからやれミックスダウンだジャケットだマスタリングだ。やってみるととてもいろんな作業があるようで、気がつけば大晦日、自主制作なのになんでこんな詰めの作業の連続だったかというと、これがまたミユキさんらしいところで、CD録音した直後、発売日どころか制作作業進行も見えてないのに、2月の2日に発売記念ライブを決めてしまっていたからなのでした。CD自体はミユキさんの名義ですが、私は自分のCDのようにこの完成を嬉しく思っています。というのはこうしたプレイヤーとの記録が残せただけでなく、今回はすべて我々の手で、タンゴという枠を超えて良くも悪くも通せたというところ、タンゴらしい音というのはジャズらしい音(例えばブルーノートレーベルのような)と同じようにどうやら世の中で存在しているようですが、そういう耳ではなく、楽器の鳴りや音色そのものから素直に構築していった音源の制作が出来たということでした。エンジニアも若くタンゴの先入観はなし、録音を頼む際にはまずタンゴの音源を聴いてもらうことから始め、こちらの意図を理解してもらうという共同作業、そして自分達の耳を頼りに試行錯誤の連続、なのである意味、常識とは違うところで純粋に楽器の音色がみんなのびのびと聴こえるような「タンゴらしくない」作品にしたつもりです。これはおそらく賛否両論なのだろうなあ。でもタンゴ知らない人に聴いてもらいたいバンドでもあるので、この線を採用したってわけです。賛否の否のほうは、新しいものを創るときに得てして生じる副作用のようなものかと。そんなサウンドのEl Fuelle1stアルバム、その名も「Miyuki Tango」。2月14日に発売予定のところを、上記のように2月2日にミユキさんがすでにライブを入れてしまっているため、この日にライブ会場で先行発売です。私が作った曲も2曲入ってます。14日以降はミユキさんが夜の新橋とか錦糸町とかの繁華街で、マッチ売りの少女スタイルで道行く人に背後から声を掛けたり、新幹線やスーパーひたちなどでの車内販売に紛れて、または横浜スタジアムの開幕戦でシュウマイ弁当売りに化けてなどという販売方法をとるのでしょうか?
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【ご来場くださった方のレポート①】
 今、タンゴ集団「エル・フエジェ」の1stアルバム「MIYUKI TANGO」を聴きながら日記をしたためている。日付が変わって昨夜は江古田「BUDDY」という大きな箱でのCD発売記念ライブである。 平日開催の「エル・フエジェ」ライブには遅刻するのが恒例であるが、今回も第1部を完全に聴き逃した。現地でシャンソン歌手の柳川ローズさんとお会いして第1部の様子を伺ったところ、ロベルト杉浦という歌手がゲストとして「ロコへのバラード」を披露したという。アストル・ピアソラ―オラシオ・フェレールという黄金コンビの手によって成ったこの曲は、以前に別のライブでも時間切れで早退して聴き逃しており、よほど縁がないものとみえる。他には「Miyuki Tango」「野原でバンドネオンを拾ったよ」「リマ・ダンス」など、おなじみの曲が連なったという。 さて、気を取り直して第2部に耳を傾ける。ここ3ヶ月間追いかけてきた中で、全体のコヒーレンス(統一性)では今回のライブが最も秀でていた。おそらく五重奏の部分を8分目の安全運転に切り替えたものと思われる。かわりに三重奏やソロのパートを随所に設け、そちらのテーブルで即興演奏を存分に披露していた。いわば五重奏アンサンブルの基礎の上に即興演奏のお神楽を建てた2階建て方式である。これによって「エル・フエジェ」は自分たちの「標準」を確立したといえる。極めて収穫の多いライブであった。 2曲目の「マル・デ・アモーレス」でダンスユニット「Lam&Gyu」が登場するなど、演出にもこだわりを見せた。MCも笑いの壷満載の周到に準備された内容で、画期的であった。さらにはアンコールのアンコールとしてロベルト杉浦が「ロコへのバラード」を客席から再披露した。「標準」にこれらのオプションが次々に加わると、先々のライブにも楽しみが増えよう。ただし、「標準」があくまでも本命であることだけは忘れないでほしい。(釈迦に説法だが……)演奏後にCDジャケットを拝見した。メンバーから「辛口」と伺っていた小松亮太氏のライナーノーツに目を通す。収録曲の演奏の出来を序列化している内容だったが、私には現役アーティストの本音として傾聴に値するように思われた。少なくとも嫉妬に狂ってライバルを叩き潰そうとする意図は見られず、十分に友情が滲み出ている。 あと、バンマスの佐藤美由紀さんの挨拶文に「伸びしろ」という言葉を発見した。私が「エル・フエジェ」に関して最初に書いた日記のキーワードとして「伸びしろ」という言葉を使ったが、この第一印象は意外とメンバーの方々の共感を得られたのかもしれない。 100人以上収容できる大きな会場はほぼ満員。最後の「タンガータ」では、ギター・ピアノ・ヴァイオリンと受け渡されるソロのカデンツァに、客席が水を打ったように静まり返っていた。試行錯誤を繰り返した末の到達点。間違いなく最高の出来映えであった。『荘子』逍遙遊篇の冒頭に次のような一節がある。「北冥に魚あり、其の名を鯤(こん)と爲す。鯤の大いさ、其の幾千里なるを知らず。化して鳥と爲るや、其の名を鵬(ほう)と爲す。鵬の背、其の幾千里なるを知らず。怒して飛べば、其の翼は垂天の雲のごとし。是の鳥や、海運(うご)けば、則ち將に南冥に徙(うつ)らんとす。南冥は天池なり。」 今まさに「エル・フエジェ(El Fuelle)」は鯤から鵬に変身して南天へ飛び立たんとしている。どうか音楽の天空を自由に飛翔していただきたい。
・・・「エル・フエジェ(El Fuelle)」の1st CD“MIYUKI TANGO”を私は2枚購入した。1枚はメンバー全員のサインを頂戴して手元に置いているが、もう1枚は先ほど神田神保町のタンゴ専門喫茶店「ミロンガ・ヌオーバ」に寄贈してきた。ついでに全曲リクエストしてお店の大スピーカーで鑑賞した。明日以降「ミロンガ」では何時でも“MIYUKI TANGO”のリクエストが可能である。 タンゴ通のアルバイト・F君に感想を求めると、「パロミータ・ブランカ」と「ウノ」の綺麗な音色を褒めていた。別のアルバイトのHさんも「ノクトゥルナ」を鼻歌で歌っており、評判は上々のようである。 F君の推した2曲のうち、前者は小松亮太氏がライナーノーツでベストテイクと絶賛し、後者は「オブリビオン」の前半部分と並んでワーストとダメ出しした曲である。どうも小松氏はSollen(当為、かくあるべし)に基づく強固なプレイスタイルをお持ちのようで、静かで遅い曲は彼の基準からは外れるようだ。やはり彼はテンポよくリズムを刻むタンゴの約束事を重視しているプレイヤーであり、それがアーティスト・小松亮太の持ち味なのであろう。 私自身はF君と同様、「ウノ」と「オブリビオン」に対しては肯定的に見ている。「ウノ」は正直ライブではとっつきにくかったが、CDでじっくり聴くと段々味わいが出てきた。おそらくイチロウさんがやりたいことの1つが端的に詰まっており、小松氏のコメントに一番カチンときたのもイチロウさんだったような気がする。美由紀さん編曲の「オブリビオン」に関しては、前半の静寂は明らかに後半のアップテンポの布石であり、ボレロ調の後半のみを切り離してもピンと来ない。前後半通しての能が後半のみの半能よりも深みがあることと同様である。何といっても私が「エル・フエジェ(El Fuelle)」にハマる契機となった曲であり、感慨はひとしおである。 ちなみに「ミロンガ」のF君は、敏感にもCD全体にジャズの匂いを嗅ぎ取っていた。普段お店でかけている伝統的なタンゴの楽曲とは明らかに調子が違うという。私は1st CDでは伝統的タンゴに義理立てしすぎていると思っていたが、通の耳は早くもバンドの狙いを正確に聞き分けたようである。1st CDが損益分岐点以上に売れれば次のCDではもっと自分たちの持ち味を出したいと伺った。ご成功を祈念申し上げる。追伸 「エル・フエジェ(El Fuelle)」のバンマス・佐藤美由紀さんのブログに私の日記を全文引用していただきました。大変光栄であり、厚く御礼申し上げます。 (Tさん)
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【ご来場くださった方のレポート②】
実は、江古田BUDDYに行くのは初めて。「年末渋さ」見たこと無いし。 “リマタンゴ”の姉妹ユニット“El Fuelle”(エル・フエジェ)のレコ初ライブ。 豪華ゲストが参加との事でしたが、 リマさんが不参加なのは事前に分かっていたので、 もしやあのお方が、なってるハウスを爆笑させたあの濃ゆいお方が出演するのではと思い、期待して行ってきました。 池袋駅で乗る電車を間違えて、江古田駅を通過。 それでも開演30分前(開場30分後)に江古田BUDDYに到着。 レコ初ライブなのに、広ーい店内が閑散としていて心配したのですが、 開演までにどんどんとお客さんが増え続け、 最終的にはほぼ満員になったのではないでしょうか。良かった。 あまりジャズっぽくない客層。タンゴなのだから当然ですが。 ベースの清水さんが楽屋から出てくるのを発見して、挨拶に行く。 するとそのあとから、あのお方が。 ロベルト杉浦さん、出たーーーっ!! 2004年9月3日のリマタンゴのライブにゲスト出演して、 情熱的な歌唱と大爆笑の下ネタ話で なってるハウスを熱狂の渦に巻き込んだ、あのロベルト杉浦さんです。 これはものすごいライブになりそうです。
<第一部>
1.   マラ・フンタ(悪い仲間)  (フリオ・デ・カロ)
2.  エル・チョクロ(とうもろこし)  (A.ビジョルド)
3. ミユキタンゴ  (スズキイチロウ)
4. 野原でバンドネオンを拾ったよ  (スズキイチロウ)
5. ロコへのバラード  (A.ピアソラ) *ロベルト参加
6. ナランホ・エン・フロール(花咲くオレンジの木) (エスポシト) *ロベルト参加
7. ラ・ラジュエラ  (P.シーグレル)
8. リマダンス  (スズキイチロウ)
<第二部>
9.  エル・ポルテニート  (A.ビジョルド)
10. マル・デ・アモーレス(恋わずらい) (P.ラウレンス) *Gyu&Lam参加
11. ノクトゥルナ  (フリアン・プラサ)
12. バホ・タンゲーロ  (E.レッテラ)
13. ブエノスアイレスの夏  (A.ピアソラ)
14. オブリビオン  (A.ピアソラ)
15. パロミータ・ブランカ(白い小鳩) (アイエータ)
16. タンガータ  (A.ピアソラ)
<アンコール>
17. ラ・クンパルシータ  (M.ロドリゲス)
18. ロコへのバラード(縮小版)  (A.ピアソラ) *ロベルト
参加
店内が広いせいか、全ての音がPAで調整されているので、 バランスが取れていて聴きやすいような、違和感有るような。 ミユキさんの曲解説(別名:ナイスボケ)を挟みながら 順調にライブが進んでいきました。 5曲目・6曲目でロベルトさん登場。 とても情熱的な歌唱なのですが、その歌う姿が この前テレビで見た“プッチャリン”さんの姿に重なって見えて笑いがこみ上げてしまいました。 タンゴファンはうっとりしながら聴いているのでしょうか。 8曲終えたところで休憩時間。 ファーストCD『MIYUKI TANGO』の先行販売時間になりました。 ミユキさん自ら売り子となっての即売会。 私は、販促(サクラ)も兼ねて先頭に並ばさせていただきました。 第二部の序盤(10曲目)では、ステージ前に空間を作って“Gyu & Lam”のダンスチームをフィーチャーした演奏。 12曲目の「バホ・タンゲーロ」では、清水さんのコントラバスをフィーチャー。 客席からの視線が、清水さんに注がれます。 いままでに、清水さんのコントラバスが ここまで注目された日があったでしょうか。晴れ舞台です!! ライブはさくさくと進み、 最後の曲(16曲目)はミユキさんお気に入りという「タンガータ」。 構成された上で、メンバーそれぞれのソロを たっぷりと聴かせる演奏にぐっと来ました。 アンコール曲として「ラ・クンパルシータ」。 客席から惜しみない拍手が送られました。 さらにミユキさんがピアノを弾き始めると、 客席の中央に座っていたロベルトさんが立ち上がり、 マイク無しで熱血歌唱!! なかなかこころにくい演出でした。 (Kさん)
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【ご来場くださった方のレポート③】
 佐藤美由紀さんのEl FuelleがついにCDを出しました。江古田まで発売先行ライブを聴きに行って来ました。 満員御礼の大盛況のなか、凄い一体感と集中力で怒涛のような2ステージ。サプライズはロベルト杉浦の歌(ロコのバラードとNaranjo en Flor)と牛&Lamの踊り(Mal de Amores)でした。演奏はVerano Porten~oとTangataがとくに素敵でした。それぞれのソロが生きて、すばらしかった!それと、Palomita Blancaの冒頭のピアノソロもよかったな~ Quinteto Realとジャズの匂いがちょっとして、でも、他の何処のバンドとも違う、ミユキタンゴの世界。CDになっていつでも聴けるのは嬉しい。 みゆきさんの息を切らせながらのMC、演奏とは裏腹にほのぼのした雰囲気でかわいらしかった。なかなか伺えなくて、今回もぎりぎりの駆け込み、失礼いたしました。でも、行けてよかった!とっても楽しかったです。ロベルトさんが最初「CD15枚しかないよ~!」と叫んでいたので、真面目な私は本気にして、カウンターで頼んでいた飲み物をほったらかして、意地汚く並んだのでした。そんなはずないのにね。しかし、彼の叩き売り?作戦、賑やかでよかったですね。 演奏でも、歌の出だしで「もう一度」とか、「この中に歌詞を知ってる人がいるな~、困った、一箇所間違えた・・・」とか、和やかな雰囲気にするのに大活躍でした。素敵な友情ですね。(Yさん)
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【ご来場くださった方のレポート④】 
El Fuelleの1st CD発売記念ライヴ。 メンバーは、佐藤美由紀さん、江藤有希さん、早川純さん、
スズキイチロウさん、清水良憲さん。 ゲストに、ロベルト杉浦さんと「Lam & Gyu」のお二人。 開演時間からかなり遅れて到着。 1ステージ目は「リマダンス」のみ聴けた。 いつも「リマタンゴ」で聴いてるので、随分ちがった印象。 江藤さんのバイオリンの軽やかな音色。 とてもリマさんは想像できない(笑)。休憩の合間に、CDの先行発売。 最初、限定15枚という事だったが、 残りわずかとなると「今、50枚到着しました~」との声。 15枚というのは、単なるネタでした。 美由紀さんの事だから、ホントに15枚しか 持って来なかったと思って心配してしまいました。 BUDDYの広い客席がほぼ満席。 CDの売り上げも好調のようでした。良かったぁ。2ステージ目は、アンコールの 「La Cumparsita」を含め約1時間の熱演。 清水さんのコントラバスをフィーチャーした 「Bajo Tanguero」が印象的でした。 アンコールも終え、メンバー紹介も終わったと思ったら、 客席にいたロベルトさんが生声で唄い出すサプライズ。 遅れて到着した僕は、1ステージ目で登場した ロベルトさんの唄声を聴きのがしていたので凄く嬉しかった。(Mさん)
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【ご来場くださった方のレポート⑤】
2/2(金)は、お世話になっている佐藤美由紀さん率いる「El Fuelle」のCD発売先行ライブということで、江古田BUDDYまで行って来ました。実は「El Fuelle」のライブにまともに行くのはこれが初めてだったりするわけで、楽しみにしていたんですが、早く上がろうと思っていた仕事もそうはいかず、結局会社を出たのが20:00過ぎ。急いで江古田まで行きましたが、前半は見事に見逃してしまいました、、残念~!というわけでライブレポとは言っても後半のみなんですが、まあ当然のことではありますが、メンバー個々人が上手いですね~。バンドにもいろいろなタイプがあって、全体の和を第一に考える(全体の統制や一体感を重視するという意味で)バンドがあれば、個々人の粒を引き立たせることで全体の総和を増幅させていくというタイプのバンドもある。「El Fuelle」は、基本的にはやはりメンバー個々人の技量が高いからこそなせる技ということでしょうね。今のモダンタンゴでは圧倒的に後者が優勢で、プロで活躍しているバンドはほとんどが後者かと思いますが、「El Fuelle」はまさにそんなバンド。バンマスの美由紀さんをはじめとして、ギターのイチロウさんや、バンドネオンの早川君、バイオリンの江藤さん、ベースの清水さん。みんな上手くて粒だっていて、さすがにタンゴだけでなくいろいろなジャンルで活躍しているミュージシャンの総体だなーと常々思わされます。当然演奏も素晴らしかったし、途中で僕らも常々お世話になっているGyu&Lamさんのダンスデモや、ロベルト杉浦のロコバラ(前半にやったらしいが聞けなかった~)熱唱なんかもあって、楽しいライブでした。El FuelleのCDのジャケットで美由紀さん自身、「疾走感」とか「鼻息ムンムン」というような言葉を使ってバンドのことを表現してますが、このバンドは力入れても決して走らないところがいいので、やっぱり大人だなーと。どちらかというと結構しっかりと演奏してましたね。もっと小さなハコでやるときの破天荒的な疾走感も魅力だと思うんですが、さすがにBUDDYのようなやや大きめのハコでやるときは、確実に音を奏でていく、そんな感じでした。ちなみに先行発売でゲットしたCDも聴きましたが、同じような感想です。つまり、結構落ち着いていて大人な演奏です。これについては、特にライブで多く聴かれているファンの皆さんにとっては、もしかしたらちょっと物足りなく思われるかもしれませんが、まあそっちはライブで、ということなんでしょうね。とにもかくにも、CD発売おめでとうございました!で、このライブにはいろんな人が来てましたが、驚いたことに、名古屋方面で活躍中の僕の大学の後輩でタンゴピアニストでもある矢田麻子さんと会場でお会いしました。(Cさん)